fc2ブログ

キム・ホンドの「ミアナダ・・・。」

2009年08月30日 06:14

私が「風の絵師」を観て、印象に残った言葉があります。
キム・ホンドのセリフの中にあった「ミアナダ・・・。」(すまない)という言葉です。

御真画を破ってしまった罪で、斬首刑になることが決まり牢屋に入れられているユンボクに、
最後に会いにきたホンドが言った「ミアナダ・・。」

もう二度と会えない、明日にも命を落とす弟子にホンドは泣きながら言います。

「ずっと一緒に描きたかった。守りきれなくて、すまない。」と・・・・。

絵師の命である手を炎の中に投げ出しても、救いたかった弟子の命と才能。
どんなに力を尽くしても、ユンボクを守りきれなかった自分。。。

ユンボクは自分のせいで大事な手を傷つけた師匠に対して、「すみません。私のせいで。」と・・・。
そして、今まで自分を慈しみ、守ってくれた師匠に「ありがとうございました。」と感謝し、涙します。

冷たい牢屋の柵を挟んで泣きながら抱き合う二人はお互いに申し訳ないという言葉を交わすのです。

このときのふたりは、まだ男と女ではなく師匠と弟子。
師弟愛で結ばれていた二人だったと思います。

このホンドの「ミアナダ・・。」は、愛する弟子に対しての言葉だったのではないでしょうか。


ホンド54ホンドのユンボクへの思いは戸惑いながらも少しづつ変わっていきます。

初めてふたりが男と女としてはっきりと向き合ったのは、キスシーンの場面でしょうか。
「まるで、夫婦みたいだな」と照れるホンド。恥ずかしさと戸惑いから、ユンボクの顔をまともに見られなくて視線を外します。そんなホンドをまっすぐに見つめるユンボク。ユンボク11
そして、「私が女だったら、、どうですか?」と精いっぱいの言葉をホンドに投げかけます。
その言葉を聞いたホンドは、なにかを決意したような表情に変わりますよね。
それまでの疑いや迷いが消えかけたホンドは、ユンボクのおでこに口づけをします。
初めて女として震える気持ちをみせたユンボクに、男として答えるように。。。


ホンド55それでもまだ、お互いの想いを完全にぶつけられないふたり・・。
ホンドのおでこへの口づけと、ユンボクの切ない涙が、ふたりの距離を表してたと思います。

ユンボクの秘密が完璧に明らかになるのは、もう少しあとのことですから。。。


                    
                     
つづきはまた・・。

                                           







スポンサーサイト



「風の絵師」の華たち

2009年08月25日 06:24

ドラマ「風の絵師」の魅力といえば美しい映像の世界。
鮮やかで美しい画面を彩るのは、数々の名画とふたりの女性の姿です。

ユンボク08
チョンヒャン01
ふたりの妓生姿、とっても綺麗ですよね?。
なんともいえずあでやかです。
斜めにかぶった傘とその大きなリボンがすごく可愛らしい。
鮮やかな色調のチマチョゴリがいいですよね。
ユンボクの着ているチョゴリの牡丹色、とっても綺麗。
大胆な色合わせは洋装にはあまり見られないものです。
日本の着物にもいえますが。
着物は生地に模様や刺繍をほどこしてあり、それ自体が一枚の絵のように美しいのですが、チマチョゴリは無地が多いですよね。(よく見ると地模様が入ってたり、控えめに模様が入ってたりもしますが)
生地自体は着物のほうが派手で豪華なんですけど、チマチョゴリが見劣りしないのは、鮮やかな色調と色合わせ、そしてたっぷりとしたチマのボリューム感が優雅で華やかな印象を与えるからだと思います。
どちらも東洋の美といえるでしょうか。

男装したユンボクは少年そのものだったけど、妓生姿で現れたユンボクは、はっとするほど可憐で綺麗でしたね。
チョンヒャンは息をのむほどの麗しさです。
妓生姿って、女性を最高に美しくみせるものなのかしら。
二人とも現代劇の姿より格段に綺麗だと思います。

あと、髪飾りがとても可愛くて綺麗でした。
本物のアンティークを使っているのでしようか。

私、史劇をじっくり見たのは初めてだったんですが、衣装の美しさに感心しました。
とくに、チョンヒャンの登場するシーンは彼女の衣装をじっくり見るのが楽しみでした。
彼女の部屋のセットも好きだったし。

風の絵師はセットにもとても気を使ってますよね。
絵師たちのお話なので、さりげなく絵が飾られてたり、趣味のいい調度品がおかれてたり。
見逃されそうなところにも手抜きがないです。

画面の細部にも徹底的にこだわって創られてるから、完成度の高い作品が生まれたんでしょうね。


パラメ12






PS・・・・・・このブログでは、私が感じた「風の絵師」の魅力を、ピンポイントで紹介しています。
なので、レビューを書く予定はありません。(レビューを書く力がないので)
レビューを読みたい方は、「韓国ドラマ斜め目線」というブログにある記事をごらんになることをぜひおすすめします!!
管理人さんの鋭く的確な目線で書かれたレビューと感想、とっても読みごたえがあって面白いですよ。こちらです。

「風の絵師」ミュージアム  その2

2009年08月18日 06:18


*天才絵師が描いた風俗画

パラメ06パラメ07












風俗画の傑作をいくつも残したホンドとユンボク。
同じようにその時代の民衆の姿を描いていますが、ホンドが市井の人々の生活を描いたのに対して、ユンボクはおもに上層階級の人や妓生を描いてます。
ユンボクの絵の人達は身なりがよく背景の建物もそれなりなので、絵に華やかさがあります。色調も鮮やかですし。
それに対して、ホンドの描いた絵は素朴であたたかな印象ですよね。

「風の絵師」6話で二人が酒場の机にしょうゆで絵を描くシーン、、、背景など描かなくても絵の中の人物の表情や仕草の描写でその人の心情を伝えることが出来ると言うホンドに対して、ユンボクは鳥かごに入れられた鳥を描いて見せます。
ただの鳥に鳥かごを書き足すと、かごから逃れたい鳥の心情を表すことが出来ると。。
背景を描くことで心情が見えてくるというわけですね。なるほど?と感心しました。
この話を聞いたホンドはこのあとで左上の絵(キム・ホンド作 酒幕)を描くときに人物の上に屋根を書き足すんですよね。 パラメ09ユンボクの影響を受けてホンドが背景を加えたのは、完全にフィクションだと思いますが、こんなふうに絵を描く過程をストーリーに絡ませたところは上手いですよね。実際、ホンドの絵は背景が描かれたものがほとんどありませんが、珍しくこの「酒幕」には背景が描いてあったので、こんなエピソードを入れたのかもしれません。

余分な景色を排除し、主題だけに集中して描かれたキム・ホンドの絵。
シンプルで潔い画面が、力強さと素朴さをより強調し観るものを惹きつけるのだと思います。


かたや背景を細部まで丁寧に描いたシン・ユンボクの絵。
繊細な画面から、人物の心情を細やかに想像することが出来る。
絵の中のストーリーにどっぷり浸れることの出来る作品たちだと思います。


パラメ11パラメ10




「風の絵師」ミュージアム   その1

2009年08月14日 04:44

「風の絵師」は韓国ドラマでは初めて本格的に美術(絵画)を軸にして描かれたドラマです。

いちおう二人の絵師の生涯と愛がテーマのドラマですが、同時に朝鮮画の世界も存分に楽しめます。
朝鮮画の美しさと素晴らしさが見られるのはもちろんですが、一枚一枚の絵が上手くストーリーに絡んでいてドラマの中での重要な位置を占めるものになっています。
歴史的名画をドラマの中で鑑賞出来るだけじゃなく、絵の説明や描かれている過程が丁寧に描かれているところはこのドラマの大きな魅力です。
美術ドラマとして高い評価を受け、韓国の文化を紹介した作品として世界各国に輸出されたのも納得の結果といえるでしょう。

シニャンがこういうクォリティの高い作品に出会えてよかった。。
やっぱり、パク・シニャンの作品を選ぶ目は確かだと思いました。

   キム・ホンドの描いた「松下猛虎図」

ドラマの第一話で、ホンドが一心不乱に描いていた虎の絵で す。
久しぶりに再会した正祖がホンドの描いたこの絵を見て「まる で生きているようだ・・・。」と感嘆の声を上げていましたね。
振り返った虎の姿を交差した前足と背中の曲線で鮮明に写し 出し、歩みを止めて一瞬静止していながら、虎の躍動感も失 われることなく見事に表現しています。
画面の下いっぱいに虎を配置した構図も素晴ら しい。虎のどっしりとした重みを感じることが出来ます。
虎の息使いまでリアルに感じる作品ですよね。動きは止まっているけれど、がるるるるるという低い唸り声 が聞こえるような気がします。
さすが、天才絵師と言われたホンドが残した作品です。

ちなみにこの絵、「風の絵師」の出演者たちの間で一番人気の あった作品だそうです。
とくに、男性陣の。。
確かに、繊細で緻密な筆使いで描かれながら男性的な力強さを感じる作品だと思います。




パラメ03シン・ユンボクが残した「美人図」

ドラマの一番最初と最後に登場する「美人図」は、ユンボクの自画像とされています。
ユンボクは本当は女性だったという設定なので、あくまでもドラマ上でのことなのですが。。

やわらかで繊細な筆使いで描かれた想い人は、たおやかで美しい。
抑えた色調が品の良さとしとやかさを醸し出しています。
チマのスモーキーなブルーの色がいいですね。
落ち着いた雰囲気の中でも、緻密に描かれた髪に少しだけ艶やかさを感じます。

ユンボクは、この絵の中に本当の自分を描いたのでしょうか。
女として生きられない悲しい運命とホンドへの想いを絵に込めて。。。

ドラマの最後でこの絵の持つ意味や背景についての説明が描かれていると期待したのですが、なにもありませんでしたね。
この絵のことを詳しく取り上げてほしかったな。。。残念。

「風の絵師」のおかげで、シン・ユンボクの代表作である「美人図」に出会えたのは充分価値のあることではありますけど。。。







二人の絵師が描いた絵について、、、、続きはまた。




キム・ホンドの眼差し

2009年08月09日 07:16

「風の絵師」のキム・ホンドは、パク・シニャンの目の演技が印象に残る役だと思います。ホンド53

どちらかといえば、動きを抑えて表情演技で魅せる役ですよね。

ホンドは、前作「銭の戦争」のナラのようなアクティブな役ではありません。
ナラが人間の喜怒哀楽を全身で表現したように、、「パリ恋」のギジュが優雅で洗練された動きで魅力的な御曹司を見せたように、、、キャラクターの心情や個性を動きで表現することよりも、ホンドの場合は、表情演技に重きをおいていたように思います。

シニャンがドラマの放映前に、「キャラクターを先頭に押したてるつもりはありません。俳優達のアンサンブルを前に出したい。」と言ってましたね。
普通なら自分の演じるキャラクターに注目してドラマを見てほしいと言いがちだけど、まず作品ありきの考えからでた言葉ですよね。
それだけシニャンがこのドラマの作品性を気に入り、大事にしたということだと思います
ホンドのキャラを目立たせるよりも、アンサンブルを見せる。
派手さはないけれど、結果的にシニャンの静かで深い演技を見ることが出来てよかったと思います。


*ホンドの眼ヂカラ

「風の絵師」の一話でホンドが虎と対峙するシーン、、、天才絵師ホンドの本質を表す大事なシーンですが、ホンド07このときのシニャンの目の演技、本当に凄いです。
一心不乱に虎を描くホンドがふと顔を上げると虎が目の前に。。。
何かが憑依したような目つきで筆を走らせる様子と虎を目の前にした驚きと恐怖、そして息をのむ緊張感。これを絶妙な視線の動きと表情で、一瞬に表現出来てしまうシニャン。。
迫力ある目の演技、あまりの素晴らしさに脱帽しました。
しかも、虎の映像はあとでドッキングされたものですから、演じるシニャンの目の前には何もいないわけで。。。もう神懸り的な演技ですよね。


*眼差しで心を語るホンド

ホンドとユンボクの関係はひとことで言い表せないとても微妙なものですよね。
師弟であったり、ライバルであったり、お互い想い合う相手であったり。パラメ01
微妙な関係ゆえに、お互いの想いを簡単に口にすることは出来ません。

とくに、ホンドがユンボクの正体を知るまでは同性同士と思っているのですから、ホンドは何も言えないわけです。
それでも、ホンドがユンボクに向ける視線の中には、自分の気持ちに対する戸惑い、ユンボクが本当は女かもしれないという疑い、そして彼女に対する深い愛と熱い気持ちが充分に感じられました。
それはとても切ないものではあったけれども。。

シニャンは、言葉に出来ない気持ちをホンドの眼差しで見事に表現したと思います。



深い眼差しで心を語るホンドには言葉などいらないのかもしれませんね。
ユンボクにはホンドの気持ちが痛いほど伝わっていたのですから。。。



最新記事


>